破損した工具検出（BTD）システムは、使用前後に工具の画像をキャプチャします。次に、この画像が分析され、ツールに顕著な違いがないか確認します。機械が壊れたツールを検出すると、ユーザーに通知してプログラムを停止するためのアラーム機械が生成されます。このシステムは、ドリル、タップ、エンドミルで使用することを目的としています。 

注：現時点では、破損した工具検出システムは後付けできません。

BTDシステムは以下で構成されています。

1. A62プロセッサ - これは、LEDライト&カメラを制御および給電するシステムの頭脳です。 
2. BTD A62 PFDM PCB - このBTD A62 PFDM PCBは PSUPから電力を受け取り、それをA62プロセッサと共有します。
3. LED lights - これらの（x2）LEDライトは、壊れたツールを検出するために、カメラがそれを画像としてキャプチャするときにツールを照らします。 
4. カメラ - このカメラは、工具を使用する前後に画像をキャプチャします。この画像は、使用前後の工具の高さの違いを比較するために使用します。 
5. カメラ取付けハードウェア - このカメラ取付けハードウェアは、カメラと（2個）LEDライトを機械に取り付けます。このハードウェアは、壊れたツールを正確に検出できるように、カメラと（2個）LEDライトを適切な位置に配置するのに役立ちます。 

破損した工具の検出（BTD）は、使用前後に工具の画像を撮影することで長さを検出する機能です。長さに目立った違いがあると、アラーム9300破損した工具がトリガされすべての機械の動作が停止します。

システムが破損した工具を正常に検出するに先立って、カメラをセットアップして校正しておく必要があります。この手順では、カメラマウントを適切な位置に手動で調整し、関心領域を校正する方法を示します。 

注： 破損した工具の検出機能の詳細については、破損した工具の検出 - トラブルシューティングガイドを参照してください。

ソフトウェア要件：

• 100.23.000.1110 以降のバージョン

[DIAGNOSTICS]を押します。

メンテナンスメニューから  を選択し、次に  BTDキャリブレーションタブに移動します。

[E-STOP] をエンゲージする画面の指示に従って、キャリブレーションモードに入ります。

注記：[E-STOP] が解放されるといつでもキャリブレーションモードを終了し、デフォルトの画面に戻ります。

 [F1] を押して、機械の画面でカメラ送りをONにします。 

[F2]を押して、リモートディスプレイタブをONにします。このタブでは、外部デバイスがカメラ送りを表示できるため、校正プロセスが容易になります。

リモートデバイスのWiFiをOFFにする画面の指示に従います。

リモートデバイスのQRコードをスキャンします。 

その後、機械のネットワークに参加するように求められます。 

リモートデバイスのQRコードを再度スキャンします。 

QRコードは、カメラのライブ送りを示すリモートディスプレイのWebページに更新されます。 

リモートデバイスにカメラのライブ送りを表示した状態で、カメラの送りをテストして、ライブであることを確認します。

作業灯 [ON/OFF]を回してこれを行います。輝度の変化は、ビデオのライブ送りに表示されます。 

ツールチェンジャー側の機械ウィンドウを開いて、カメラにアクセスします。カメラとライトアセンブリは、適切なキャリブレーションを確実にするために全体的に調整できます。 

側面[1]と上部[2]のハウジングねじを少し緩めて、位置決めを設定します。 

側面のねじ[1]により、カメラアセンブリの前方および後方への移動が可能になります。

上部のねじ[2]により、カメラアセンブリを左右に動かすことができます。 

ピボットねじ[3]は、カメラアセンブリの角度を設定します。これにより、システムが微調整されます。

ねじを調整するときは、カメラのライブ送りのリモートディスプレイを必ず確認してください。

緑色の線内の領域は、関心領域（ROI）と呼ばれます。ツールは、ROIの中央に水平に配置する必要があります。ROIは、システムが検出している画像の量を決定します。

工具ホルダが左側に表示され、工具の先端が右側に表示されるようにカメラを配置します。

 注： ツールホルダーは、部分的にのみ表示されるように左側に十分離れた位置に配置し、他のツールホルダーが関心領域内に入らないようにする必要があります。 

ツールをROIの中心線に合わせてみてください。

黒いブラシが問題の工具の背後にあることを確認してください。  

注記：ROIの中間以内の工具の真直度は、工具検出の品質に直接影響します。 最も正確なセンターラインを得るには、 長いツールを使用してください。

工具が十分に整列したら、[F2]を押してリモートディスプレイページを離れます。 

[F1] を押して、機械の画面でカメラ送りをONにします。 

さまざまなサイズの工具に対応できるように、ROIを調整します。回転ラック内で最も広い工具の工具ホルダと工具の両方を、キャプチャするのに十分な幅のROIがあることを確認してください。 

重要：ROIが1つではなく2つのポケットをカバーする場合、カメラが間違ったツールを検出する可能性があります。これを避けてください。 

[PAGE UP]および [PAGE DOWN]ボタンを押して、一度に1桁ずつROIの幅を調整するか、または1～100の整数を入力し、その後[F4] を押して、そのROIの値を設定します。 

注記：たとえば、最初の画像[1]は、デフォルトのROIが50%のツールを示しています。ポケットと工具ホルダの周囲に余分なスペースがあります。これにより、2番目の画像[2]でROIが40%に低下しました。今では、より幅広いツールに対応するための余分なスペースを残しながら、ROIはツールに集中しています。 

破損した工具の検出（BTD）は、使用前後に工具の画像を撮影することで長さを検出する機能です。長さに明らかな違いがあると、アラーム9300破損した工具がトリガされ、BTDタブが前後の画像を強制的にポップアップ表示するようにします。

この手順では、破損した工具の検出システムを装備した機械の操作方法を示します。

重要：機械をサービスモードにして、設定430 がオンになっていることを確認します。

 注： 破損した工具の検出機能の詳細については、破損した工具の検出 - トラブルシューティングガイドを参照してください。

BTD校正ページは、診断 > メンテナンス >— BTD校正の順で見つけられます。

このBTDキャリブレーションページには、すべての人がアクセスできます。このタブは、BTDカメラのライブ送りを、[F1]を押すことで機械の画面、または[F2]を押すことでリモートディスプレイのいずれかに表示します。

カメラのライブ送りを表示する際に、このページを使用して関心領域（ROI）値を設定することもできます。この値は、[PAGE UP] または [PAGE DOWN]を押して、カメラが検出している領域のサイズを設定します。この検出された領域は、工具があることが想定される場所です。工具を中央のROIラインに合わせてみてください。 

注：  ROI値を最終決定する前に、まずカメラの取付けアライメント（整列）を仕上げることが重要です。デフォルトROI値を取得するには、[ORIGIN]を押して50%のROI値に戻ります。 

工具テーブルのページ[1]は、現在のコマンド > 工具 > 工具テーブルで見つけることができます。

工具テーブルの下で、[F2]を押して、破損した工具の検出システムでチェックする工具にマークを付けます。これで、破損した工具の検出機能は、動作を伴うG01など、選択した工具の使用前後で実行されます。

注記：破損した工具の検出システムは、手動の工具交換[ATC FWD]ではなく、プログラム内の工具交換（M06）中にのみ実行されます。

注：現在のコマンド > 工具 > BTDのBTDタブ[2]は、壊れたツールが検出された場合にのみ表示されます。

破損した工具の検出（BTD）は、使用前後に工具の画像を撮影することで長さを検出する機能です。長さに明らかな違いがあると、アラーム9300破損した工具がトリガされ、BTDタブが前後の画像を強制的にポップアップ表示するようにします。 

Broken Tool Detection（破損工具の検出）機能で最も正確な結果を得るためには、工具が 画面上のグリッド線の中央（関心領域（ROI））に水平に配置されていることを確認してください。ROIは、システムが検出している画像の量を決定します。 

このトラブルシューティングガイドでは、各アラームについて説明し、破損した工具の検出システムのトラブルシューティングの方法を示します。 

注記：破損した工具の検出機能の操作方法の詳細については、破損した工具の検出 - 操作の参考資料を参照してください。 

アラーム9300破損した工具は、工具が破損した場合にトリガされます。 

注：基準と現在の工具長の周囲にボックスが表示されます。ソフトウェアのバージョンが100.23.000.1110の場合、ツールの周囲に緑色のボックスが表示されます。ソフトウェアバージョン100.23.000.1200以降では、ツールの周囲に警告記号[1]が付いた薄紫色のボックスが表示されます。

アラームのため、M06経由で工具をスピンドルに戻すように命令することはできませんが、[ATC FWD]を介してスピンドルに戻すように命令することができます。

工具がスピンドル内に入ったら、破損がないか点検し、必要に応じて交換します。工具が破損していない場合は、[SHIFT] - [F3]で機械のエラーレポート取得し、ローカルHFOに送信します。 

以下は、ソフトウェアのバージョンが100.23.000.1110にのみ適用されます。

アラーム9301破損した工具の検出障害は、制御がA62ボードまたはカメラのいずれかと通信できない場合に、ハードウェアの問題によってトリガされます。このアラームは、プログラムが工具交換を要求し、工具テーブルは破損した工具を検出するように切り換えられているが、 BTDシステムへの接続を見つけるのに苦労している場合にのみ表示されます。 

このアラームのトラブルシューティングを行うには、カメラがA62ボードに接続されており、A62ボードがBTD A62 PFDM PCBに接続されていることを確認します。問題が解決しない場合は、機械の電源を入れ直してください。

以下は、ソフトウェアバージョン100.23.000.1200以降にのみ適用されます。

ALARM 9301 破損した工具の検出障害は、ソフトウェアの問題によってトリガされます。破損した工具検出ソフトウェアに問題があり、制御が破損した工具の検出を実行できなくなりました。 

このアラームのトラブルシューティングを行うには、[RESET]を押して続行します。電源を入れ直す必要があります。問題が解決しない場合は、[SHIFT] - [F3]を行い、さらに調査するために、結果を最寄りのHAASファクトリーアウトレットに送信してください。

以下は、ソフトウェアバージョン100.23.000.1200以降にのみ適用されます。

アラーム 9302 破損した工具の検出ボードの通信の喪失[1]は、制御がA62ボードと通信できない場合、またはA62ボードに障害がある場合に、ハードウェアの問題によってトリガされます。 

このアラームのトラブルシューティングを行うには、A62ボードがPFDM PCBに正しく接続されていることを確認します。A62ボードケーブルが正常に機能することを確認してください。 問題が継続する場合は、機械の電源を入れ直してください。 

以下は、ソフトウェアバージョン 100.23.000.1200 &以降にのみ適用されます。

アラーム 9303 破損した工具の検出カメラの通信の喪失[1]は、制御がカメラと通信できない場合、またはカメラに障害がある場合に、ハードウェアの問題によってトリガされます。

このアラームのトラブルシューティングを行うには、カメラがA62ボードに接続されており、A62ボードがPFDM PCBに接続されていることを確認します。カメラケーブルが想定どおりに機能することを確認してください。 問題が継続する場合は、機械の電源を入れ直してください。 

この手順では、工具の前後の画像をキャプチャする破損工具検出システムのカメラを交換する方法を説明します。

この手順は次のサービスキットに適用される必要があります。

• 93-3822 SVCキットBTDカメラアセンブリ 

BTDカメラケーブル 79-0159 を、A62プロセッサのUSBポートに接続するUSBアダプター 74-2003 [1]に接続します。

制御キャビネットからのカメラケーブルを機械のカバーパネルの周りに配線します。

カメラケーブルを取り外します。 

破損した工具検出ブレースの上部のねじ[1]を取り外します。 

破損した工具検出ブレースの中央のねじ[2]を取り外します。

破損した工具検出ブレースの最後のねじ[3]を取り外し、ブレースをカメラ[4]から外します。 

カメラ[4]を取り外します。 

カメラ[1]をねじ[2]で破損した工具検出ブレースに取り付けます。

中央のねじ[3]を破損した工具検出ブレースに取り付けます。 

破損した工具検出ブレースを接続する上部のねじ[4]を取り付けます。 

カメラケーブルを機械のカバーパネルに沿って制御キャビネットに配線します。カメラケーブルをツールチェンジャーの後ろの他の配線されたケーブルのグループに配線します。 

カメラケーブルをカメラに取り付けます。 

カメラケーブル79-0159[1]を、A62プロセッサのUSBポートに接続するUSBアダプター74-2003に差し込んで接続します。 

この手順では、機械の制御キャビネット内の破損工具検出システムのA62プロセッサとBTD A62 PFDMボードを交換する方法を示します。 

この手順は次のサービスキットに適用される必要があります。

• 93-3815 SVCキットBTD A62 
• 93-4199 SVCキットA62、BTDブロックなし

注記：メインプロセッサにエンクロージャーがない機械にはサービスキット93-3815を使用し、ブラケット[1]を使用してBTD PCB（2024/02/25より前に製造された機械）を取り付けます。メインプロセッサにエンクロージャーがある機械にはサービスキット93-4199を使用します。BTD PCBはエンクロージャーに直接ボルトで固定されます（2024年2月25日以降にメインプロセッサP/N 32-4267 または 32-4269で製造された機械）。

BTD A62 PFDM PCB[1]とA62プロセッサ[2]に接続されているすべてのケーブルを外します。

A62プロセッサ[2]の上部からBTD A62 PFDM PCB[1]を取り外します。

取付けプレート[3]の上からA62 プロセッサー [2]を取り外します。 

新しいA62プロセッサ[2]を取付けプレート[3]の上に取り付けます。 

 重要： カバー付きメインコントローラーを備え、2024/02/25以降に製造された機械には、取付けプレート[3]は必要ありません。A62プロセッサ[2]は、メインコントローラーに直接配置されています。 

A62プロセッサ[2]の上部に新しいBTD A62 PFDM PCB[1]を取り付けます。  

BTDカメラケーブル79-0159を、A62プロセッサのUSBポートに接続するUSBアダプター74-2003 [1]に接続します。 

両方のLEDライトを、BTD A62 PFDMのJ3に入る+12V LED電源ケーブル33-1228[2]に接続します。 

A62プロセッサの電源ケーブル33-1256 [3]が、A62プロセッサのJ26からBTD A62 PFDMのJ4 に接続されていることを確認してください。 

BTD A62 PFDMケーブル33-1227[4]をBTD A62 PFDMのJ2からMAINCONのJ3に接続します。このケーブルには、PSUPのP20に接続するピグテールもあります。 

A62プロセッサのmico USB Bポートからの通信ケーブル79-0158 [5]をMAINCONのUSBポートJ8 に接続します。 

重要： トランスレーターケーブルをMAINCOMの下部USBポート J8 に挿入します。

ツールチェンジャー付近のカバー内コーナーに、補強ブラケット[1]を固定します。

取り付けには、6個の1/4"-20フランジナット[2]を使用します。

破損工具検出サブアセンブリ[1]は、1/4"-20 X 1/2" のフランジ付きボタンヘッドキャップスクリュー（FBHCS）[2]を4本使用して、補強ブラケットに取り付けます。

ねじ切り部にロックタイトを少量塗布します。

エンドブラケット[1]は、1/4-20フランジナット[3]を2個使用してカバー内部に、1/4"-20 X 1/2" のFBHCS[2]を2本使用して補強ブラケットに取り付けます。

FBHCSのねじ切り部に少量のロックタイトを塗布します。

 注意： UMC-500ではこのブラケットを使用しないため、この手順はスキップしてください。

BTDケーブルを機械のカバーパネルの周囲に沿って制御キャビネット内に配線します。カメラケーブルは、窓に最も近いケーブルマグネットとスパイラルラッピング内に配線します。 

カメラケーブルをカメラに取り付けます。ベルクロテープを使用してケーブルを束ねて固定します。

A62プロセッサ[2]を取付けプレート[3]の上に取り付けます。

A62プロセッサ[2]の上部にBTD A62 PFDM PCB[1]を取り付けます。

BTDカメラケーブル 79-0159 を、A62プロセッサのUSBポートに接続するUSBアダプター 74-2003 [1]に接続します。 

両方のLEDライトを、BTD A62 PFDMのJ3に入る+12V LED電源ケーブル 33-1228 [2]に  接続します。 

A62プロセッサの電源ケーブル 33-1256 [3]が、A62プロセッサのJ26 からBTD A62 PFDMのJ4 に接続されていることを確認してください。 

BTD A62 PFDMケーブル33-1227[4]をBTD A62 PFDMのJ2からMAINCONのJ3に接続します。このケーブルには、PSUPの P20 に接続するピグテールもあります。 

A62プロセッサのmico USB Bポートからの通信ケーブル 79-0158 [5]を、MAINCONのUSBポート J8 に接続します。 

 重要： トランスレーターケーブルをMAINCOMの下部USBポート J8 に挿入します。

USBエクステンダー 74-2003 に 64-1252 フェライトフィルターを追加し、A62ボードに接続します。

システムが破損した工具を正常に検出するに先立って、カメラをセットアップして較正しておく必要があります。 

較正の手順に従ってください。この手順では、カメラマウントを適切な位置に手動で調整し、関心領域を較正する方法を示します。